7月15日スタート!NHK土ドラ「悦ちゃん」てどんなお話?

昭和10年の東京・銀座が舞台

昭和10年の東京・銀座が舞台

土曜時代ドラマ第2弾の「悦ちゃん」
活気あふれる昭和10年の東京・銀座が舞台。平尾菜々花演じる10歳の女の子・悦子(悦ちゃん)が、ユースケ・サンタマリアさん演じる、しみったれた「やもめ」の父・碌太郎のために、嫁探しに奔走、候補の女性たちと恋のさや当てが始まるという笑って泣ける極彩色あふれるラブコメディ。http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/7000/269314.html

原作者は昭和の人気作家・獅子文六さん

小説家・演出家 (1893年7月1日~1969年12月...

小説家・演出家 (1893年7月1日~1969年12月13日)

横浜弁天通の岩田商会に生まれる。父の岩田茂穂は、福澤諭吉に学んだのち絹織物商を営んでいたが、文六9歳のおりに死去する。
日清戦争開戦前年に生まれ、幼少の頃は中区月岡町9番地(現西区老松町の迎賓館付近)の官舎に住んでいた。横浜市立老松小学校から慶應義塾幼稚舎に編入学。普通部を経て、慶應義塾大学理財科予科に進学するも中退。
1922年から数年間、演劇の勉強のためにフランスへ渡る。フランス人のマリー・ショウミーと結婚し、帰国後に長女巴絵を得るが、のち妻は病死。以後、富永シヅ子と再婚し、娘を育てる経緯が、のちに私小説『娘と私』となる。戦後にシヅ子も病死し、元男爵吉川重吉の娘・幸子と3度目の結婚をしている。
処女作は1934年『金色青春譜』
のち1936年に、最初の新聞連載小説として報知新聞に掲載され大好評となった作品が、今回ドラマ化された『悦ちゃん』。
この作品が小説家としての獅子文六の筆名を世に知らしめるものとなりました。

翌1937年、岸田國士、久保田万太郎と共に劇団文学座を創立。
「文学座」と命名したのは彼であり岸田、久保田と共に文学座幹事(のちに顧問)を務め、岸田、久保田がこの世を去った後は、文学座の最後の精神的支柱として、文学座座員はもとより、文学座を脱退した劇団雲、劇団NLTの面々からも信頼を一手に受けたと言われています。

改めて彼の資料を紐解くと、小説・随筆・戯曲・翻訳など、数多くの作品が残されており、中には映画化・ドラマ化された作品も相当数ありました(以下 参考)

『娘と私』 1961年4月 -1962年3月 NHK 連続テレビ小説第1作
『大番』1962年10月-1963年4月 フジテレビ
『信子とおばあちゃん』NHK連続テレビ小説第9作 1969年4月 -1970年3月
ブラザー劇場『胡椒息子』 1969年7月-10月 TBS
『恋とコーヒー』 1974年2月-3月 NHK銀河テレビ小説
『新・自由学校』 1978年1月-2月、NHK銀河テレビ小説

1950年代から60年代にかけては、これら以外にも、文六の作品を原作とする連続、あるいは単発のテレビドラマが数多く製作されたそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%85%E5%AD%90%E6%96%87%E5%85%AD

今なぜ再燃?オトナ女子もはまる獅子文六作品の魅力って?

今回ユースケ・サンタマリアさんが主演を務める「悦ちゃん」他、過去にドラマ化・映画化された作品の中から2作品をピックアップ。
没後50年を経て、彼の作品が平成に生きる私たちのメンタルに響くのはなぜなのか?
その魅力を勝手解析してみました。

「悦ちゃん」 読後のほっこり感がたまらない

新聞の連載小説として昭和11年、世に発表された「悦ちゃん」
妻に先立たれた33歳。その娘である10歳の娘の父思う奔走ぶりを、時に切なく時に楽しく描いた作品。個性豊かな大人たちとの絡みが「人間の真髄」を表現しているような気がします。
娘を深く愛しながらも、その愛の深さを自分でも計れきれず、うまく表現できない男親。
そしてそんな父親を心底心配し、彼のために意表を突く行動を起こす娘。
こんな風に素直にストレートに「愛する人のために」行動できたら、どんなに気持ちが楽になるかしらん?どんなに、自分も周りの人々も幸せを実感できるようになるかしらん?

決して善人ばかりが登場人物ではないのだけれど一途に父親を笑顔にしたい「悦ちゃん」
こんな風にたくましく生きられたら・・こんな風に・・こんな風に・・
思わず自分の弱さを顧みてしまう文面が多々出てきます。
読んだ後に訪れる「ほっこり感」は、考えてるだけじゃダメ?言葉と行動に表さなきゃダメ?・・だよね・・・
と、あたりまえのことをもう一度教えてくれる「ココロ時間」をお仕着せではない方法で与えてくれる気がします。

「コーヒーと恋愛」(原題『可否道』)今の恋愛に悩んでいるオトナ女子に読んで欲しい一遍

主人公・モエ子は、美人ではないが女性に人気がある43歳の女優。
その時点ですでに「え?」と先を急ぎたくなる序章。
「美人ではない?」「でも女優?」「えっ?43歳?」
思わず引き込まれるオトナ女子(笑)

彼女の淹れるコーヒーがとても美味しいことから、愛するパートナーの他、彼女の周りには日々コーヒー愛好家「可否会」の面々が集います。

そんなある日、彼女のパートナーが「モエ子のコーヒーが不味い。芋の焦げたような臭いがする。」と言うのです。

パートナーは8歳年下の演劇人。
彼女の淹れたコーヒーの味に異変が起きたのは、愛するパートナーが劇団の若き研究員へと心変わりをしたから?、彼の気持ちの変化を感じ取ったモエ子の「女」の「心の機微」がコーヒーの淹れ方に影響を与えたの?
千々に乱れる彼女の心が、コーヒーの味を変えたの?

そんなこんな、この小説のいたるところに、好奇心を刺激する素材・恋愛のヒントがちりばめられています。

このようなストーリーが半世紀以上も前に世に出され、映像化されていたとは、驚きです。
なぜなら、この小説を読むと、現代でも何ら変わらないアラフォー女子の胸のうずきが生々しく聞こえてくるからです。

上質なユーモアがエッセンスとなり、いろいろな意味で爽快な「吹っ切ること」を学べる奥深い恋愛小説だと思います。恋に迷いがあるオトナ女子にはぜひ目を通してみて!と言いたい一遍です。

「娘と私」死別した娘を、のちに再婚した妻と育てる自伝的ストーリー

これは獅子文六の自伝小説。
フランス人の妻が病死した後に、娘との2人だけの生活を経て再婚し、再婚した妻と共に、娘を結婚まで育てあげるという過程を描いた小説です。

深い家族愛から綴られた自伝小説の傑作とも言われています。
亡き妻に捧げられたこの作品は、母を失った病弱の愛娘の成長を見届ける父親としての眼差し、作家としての苦難の時代を支え、継娘を育てあげ世を去った二番目の妻への愛、そして、それら全てを受け止める一人の人間の大きな物語です。
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/29832433.html 参照

連続テレビ小説 娘と私(NHK名作編 みのがしなつかし)

時の流れを感じさせないストーリーの数々。日々の忙しい生活に追われ、ともすれば忘れがちな「人vs人」のぶつかり合い

男と女の話が大好きだったという文六の作品。先が見えにくい今だから、人として一番大切なものは何か?を教えてくれる文六作品が、今再び脚光を浴びているのかもしれません。

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