偉大なるオトナ女子・内館牧子(うちだて まきこ)さん

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誕生日 1948年9月10日 現在69歳

秋田県秋田市生まれ

お父さまの転勤で、四歳から新潟県、小学校3年からは東京都大田区で育つ。
幼い頃はいじめられっこであったが自身を助けてくれた男の子が大きな体を持っていたことから、体の大きな男の子は優しいのだという意識が刷り込まれたといい、これが大相撲に興味を持つきっかけとなったという。

東京都立田園調布高等学校を経て、1970年(昭和45年)、武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒。
卒業後、三菱重工業に入社。
脚本家になることを目指し退職。


脚本家デビューは1987年。
当初の筆名は岸牧子。
 Wikipedia参照

大企業を辞めるということ

昭和58年7月31日、私は13年半にわたる会社員生活にピリオドを打った。

脚本家の仕事など、先々に何ひとつないのに、世界に名を馳せている一流企業をやめてしまったのである。若さとしか言いようがない。

退職したいと課長に伝えた時、びっくりして呆然と私の顔を見つめた。
「脚本家になる......って、そんなものに急になれるのか」
「なれません」
「仕事はあるのか」
「全然ありません」
「なら、ここにいろ。危ないことするな」
「でも決心しました。会社は居ごこちがいいので、今やめないとずっと居ますから」
「その方が親も安心だろ」
大学卒業後、大手企業に13年半勤めたという内館牧子さん。

「居ごこちがいい」と表現されていた、その職場を、「脚本家になろう」という信念のもと、

潔く退職された内館牧子さん。

果たして、そんな勇気・思いきり・覚悟が私達にはあるのだろうか?と考えると

やっぱり内館牧子さんて、すごい人だなあと思ってしまいます。

「でも、決心しました。大丈夫です」

課長は黙り、私も黙った。
「決心が固いか......。いつやめる気だ」
「6月10日」
「変な日だな。7月の給料とボーナスをもらってからやめろ。これから生活大変だぞ」
「私、ボーナスもらってやめる女子社員ばかり見てきて、下品だなってずっと思ってました。ボーナス前にやめます」
課長は大声で笑った。
「7月31日付だ。いいな」
正直なところ、有難かった。
「まだ部長には話さないでおく。気が変わったら、いつでも俺に言え」
「ありがとうございます。でも、やってみます」
「そうか......。もし、食えなくてもヘンなバイトするな。俺に相談しろ。いいな」
私はこんないい上司と別れようとしている。胸に迫った。
そして7月31日、私は仕事もないのに全課員を前に、
「私はきっと向田邦子になります」
と挨拶していた。
ふと見ると、課長がメガネを外して、涙を拭いていた。
私の隣語は「日本語」
すべて日本語で押し通す。
隣語記念日:7月31日
こんな素敵な、頼りになる上司がいらっしゃっるのですね。

こんな優しいメッセージを受けても、心揺らぐことなく職場を去られた内館牧子さん。

「カッコイイ」としか言いようがありません。

時は流れても、根底に流れる感性は変わらない

内館牧子氏、肺炎で入院していた 現在は自宅で療養中/Web東奥・ORICON NEWS (47648)

内館牧子さんの作品には、OL時代の経験がベースにある印象を受けます。

時代は違っても、今の働く「オトナ女子」と何ら変わらない部分がたくさんあるような気がします。

男女の差は相変わらず根底にあるし、きれいごとでは片付けられないことが世の中には溢れています。

内館さんのドラマやエッセイに私たちが共感できるのは、そんな背景が今も変わることなく、存在しているからではないでしょうか?

内館牧子さんの著書からオトナ女子にぜひ読んで欲しい作品をピックアップ

夢を叶える夢を見た

夢を実現させるために、現状から踏み出すべきか、踏みとどまるべきか。本当に充実した人生とは、いったいどんなものなのか。誰もが抱く永遠のテーマに挑んだ著者初の渾身のノンフィクション。http://www.gentosha.co.jp/book/b3277.html
何とか人生を変えたい、と思い悩む全ての人に送る著者、初のノンフィクション。転職して成功した人、失敗した人。転職せずに後悔した人、安堵した人などを取材。本当に充実した人生の在り方を探る。http://www.gentosha.co.jp/book/b532.html

切ないOLに捧ぐ

今、充実した仕事ぶりで輝く、脚本家内館牧子。“自分探しの道”だった大企業で過ごした13年半を、1年ごとにていねいに辿ってつづる心のあれこれ。後輩のOLたちに夢、仲間、同僚、上司、挫折、そして訪れたチャンスを、枠に、ユーモラスに告白。日々の切なさを軽快にはねのける、元気の出るエッセイ集!
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000162087

愛し続けるのは無理である

努力と嘘と犠牲を重ね、愛は保たれている。

人生は短い。若い時代はさらに短く、はかない。20代の女たちが、熱く「愛は続くものである」と考えるのは、とても健全だ。しかし、年齢を重ねたその先には「愛し続けるのは無理である」と骨身にしみた男と女の、刺激的で面白く、かつ、なぜか安らぐ関係が築ける機会が訪れる。人気脚本家が愛の真実を描くエッセイ集。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000204857

身近にあるテーマが満載のドラマからオトナ女子に観て欲しい作品をピックアップ

昔の男

…ひとりでいいの

…ひとりでいいの 第5話より - YouTube

北川まどかは商社の総務課に勤めるOL。まどかは同僚の星野と婚約するが、まどかのことを快く思わないルミ子ら他の女子社員たちの嫉妬は募る一方。ある日、新しい総務課長に就任した津村にまどかがプロポーズされる。しかし津村は寿子と深い関係にあった。まどかは星野との婚約を白紙に戻すが・・・
Wikipedia参照

週末婚

美人で華々しい生活を送る翻訳家の姉の陽子、普通のOLである妹の月子。大森豹と交際していた月子だったが、ある時、陽子が豹の兄、純と知り合い交際。大森家の両親が「嫁同士が実の姉妹」という状況を嫌悪。同時に陽子が純の子を妊娠した為、月子と豹の交際が破綻してしまう。惨めな思いをしたと感じた月子は、純と陽子の結婚式に乗り込み、陽子の過去を暴露。しばらく経った頃、大学卒業から事務職として勤務していた企業で、収納をアドバイスするハドルコーディネーターへの転身を勧められたり、同僚で、上司でもある矢作航一からの告白を受けた事などから、姉より幸せになってみせると一念発起。しかし結婚生活への不満を月子に責任転嫁した陽子は、月子と周辺の人物に対して悪辣な嫌がらせを開始。それを受けた月子の応戦により、確執は泥沼化してゆく。
Wikipedia参照

内館牧子さんが現代のオトナ女子におっしゃりたいことって?

女性力という言葉は、女の資質を生かし、そして何か成し遂げたり、周りを巻き込んで何かを一つの方向に進めていったりする力ではないかと思います。
どうやったら養うことができるのか。二つの要素、外見と精神を磨くことが必要不可欠ではないでしょうか。人は外見じゃない、心だと言いますが、心だけでは、絶対に女性力、人間力にはならないと私は思います。顔の美醜の問題ではなく、外見をないがしろにしない意識は、今、当然の時代です。特に女性力における外見の錬磨は、侮れないと実感する場面は多くあります。
もう一つが、精神です。これは、活字によって養われることが非常に大きいと思うんです。もちろん、新聞でも、雑誌でも、読んだから、すぐ女性力が着くということではありません。でも、幼い頃から活字に触れる生活をするか、否かは人生に大きな差をもたらす気がします。
共立女子大学 活字文化特別セミナー/内館牧子さん:ビブリオバトル (47665)

「活字で養う女性力」

共立女子大学の基調講演で、お話をされた内館牧子さん。

私達オトナ女子(ジョシ)に訴えたいメッセージの一つとして
心に刻みたいセンテンスです。
日常生活におけるノウハウ本ではなく、日常とは遠くかけ離れた本を読んでいただくことも、女性力を養う方法ではと思います。同時に外見磨きも怠りなくと。二つは私自身に言い聞かせているモットーです。
ご紹介した著書もドラマも、そしてメッセージも、ほんの一部です。

まだまだ奥が深い内館牧子さんのこれまでの作品や今後のご活動に、常にアンテナを張っていたいものです。

仕事に、人間関係に、恋愛に、迷いや悩みのない女子(ジョシ)はいないはず。

そんな時は、内館牧子さんの発するメッセージに、ぜひ、触れてみてください。

きっと、なにかのヒントが得られるはず。

そして、自分の中の一歩を踏み出せるはず。

そんな気がします。

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