インドは、世界2位の13億の人口を抱える国家で、様々な民族・言語・宗教で溢れています。公用語はヒンディー語の他に約20もあり、それを表すものとして「15マイルごとに方言が変わり、25マイルごとにカレーの味が変わる。100マイル行けば言葉が変わる。」ということわざもあります。
2019.5.10
その際たる都市が首都のデリーです。多民族な側面だけでなく、アジアを代表する大都市として「IT産業」を中心に急成長を遂げる側面を持ちながら、少し車を走らせれば、牛やバッファローが闊歩しているという様子まで…。世界的に見ても、ここまで様々な“色”が混沌しエネルギッシュな魅力が詰まっている都市は珍しいでしょう。
そんなデリーでいつか暮らしてみたいと思った人のために、実際に生活する際に掛かる生活費などを紹介します。1カ月あたりどのくらいのお金が必要なのか? 日本の暮らしとどんな点が異なるのか? 今後の人生設計の参考にしてみて下さい。
(※ 記事では、1ルピー(INR)=1.6円として計算しています)
(※ 2019年5月時のレート)
(※ 2019年5月時のレート)
食料品は格安
物価指数の各種データでは、インドは世界でもトップクラスに物価が安いと発表されています。都市部では物価が高くなりつつありますが、東京や大阪と比べるとまだまだ安いと言えます。
食料品の物価に関してですが、例えば…ミネラルウォーター1ℓは約20ルピー(32円)、カップヌードル1つは約15ルピー(24円)が相場です。
野菜や果物に関しては…ジャガイモ1kgは約25ルピー(40円)、たまねぎ1kgは約40ルピー(64円)、マンゴー1kgは約50ルピー(80円)が相場です。
そして、インドの国民食・カレーですが…庶民向け食堂での外食(ミールスという定食が一般的)は1食50ルピー(80円)もあれば十分食べることができます。ただし、衛生面のチェックは忘れないようにしましょう。
ある程度敷居の高い中級以上 のレストランとなると、1食300ルピー(480円)からが相場となります。よほどの高級レストランにいかない限り、日本よりも高くつくことは少ないといえるでしょう。
一方で、宗教的に食べる人が少ない牛肉・豚肉などは、販売場所が限られている上に、非常に高価です。トイレットペーパーやティッシュペーパーの紙類も、日本と比べて割高な傾向にあります。
その他、寿司やパスタなど、インドの文化・習慣にないものは基本的に高くつくと考えておいて下さい。
とはいえ、週の食事の7割程度を自炊にすれば、食費・日用品・その他諸経費を合わせても約1万5,000ルピー(2万4,000円)あれば生活ができると計算できます。
デリーの家賃相場は?
続いては、生活費の多くを占める家賃についてです。デリーには、大きく分けてニューデリー(都心部)とオールドデリー(古い町並みが残る地域)の2つがあります。貧富の差が大きいことから、地域によってアパートの値段も、大きく異なります。
都心部の安全なエリアで部屋を借りる場合、1人部屋で約3万5,000ルピー(5万6,000円)以上、2人部屋で約7万ルピー(11万2,000円)以上が相場となります。エリアにこだわらなければ、1万ルピー(1万6,000円)でも部屋を探せますが、セキュリティや設備がしっかりしていない…ということもあるので要注意です。
現地の日本人には、バサント地区やアナンド地区、または郊外のグルガオンなどが人気です。日本人が多く住んでいる地域に住むと、治安やいざという時に助け合えるなどメリットが大きいです。
生活をはじめる際の心構えとして、自宅の水道水は飲まないように注意しましょう。飲み水はミネラルウォーターにするか、浄水器でろ過したものにするなど、徹底することを推奨します。
浄水器は、現地で約1万ルピー(1万6,000円)あれば購入することができます。フィルターの汚れ具合を細めにチェックするなど、衛生面の状況には常に気をつけるようにしましょう。
タクシーの安さは世界随一
市内での短距離移動は、オートリキシャがポピュラーです。相場は初乗り20ルピー(32円)程度ですが、メーターを使わない運転手も多く、実際は値段交渉になることも少なくありません。
値段交渉などに余分な労力を使いたくない場合などは、タクシーの配車アプリの利用がオススメです。最近では『UBER』『Mega Cabs』など競合がひしめき合っており、それぞれサービスの質の向上を測っています。これなら、高額請求をするようなドライバーに出会ったり、チップを要求されたりする心配もありません。長距離移動の場合は、オートリキシャよりも安く済むことさえもあります。
国内は列車も多く走っていますが、東京の通勤ラッシュ時のように混んでいる状況が珍しくありません。相場は10ルピー(16円)程度と非常に安いのですが、スリが多いことや、夏場の暑さを考えるとあまりオススメできません。
一方、デリー市内の中心部では、日本の技術を導入したメトロ(地下鉄)の走行が始まっています。車両も最新型な上、駅構内も自動改札・エスカレーターなどが完備されており、将来的な交通混雑の緩和などが大きく期待されています。
以上、デリーで暮らすための目安をご紹介しました。都心部でなるべく日本に近い生活したい場合でも、1カ月の生活費は7〜8万ルピー(12万円前後)あれば問題なく済むと考えられます。現地の食や住宅環境に慣れてさえしまえば、5万ルピー(8万円)以下での生活も不可能ではありません。これらを参考にして、移住への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
「いつかは住みたい」ブータンでの生活費
ブータンは、北は中国・南はインドに挟まれる南アジアの国家で、「世界一幸福度が高い国」とも言われています。独特の仏教文化を色濃く残しており、他の国にはない魅力で溢れています。