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アメリカの「ビヨンド・ミート社」、「インポッシブル・フーズ社」というベンチャー企業2社が開発した植物由来の限りなく肉に近い代替肉が人気を集めています。いったいどんな味なのでしょう。健康面や注目される理由など、筆者の試食体験も合わせて紹介します。

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2019.11.24

「ビヨンド・ミート」、「インポッシブル・フーズ」が注目されるワケ

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今年に入って、「plant-based (植物由来)」、「alternative meat (代替肉)」、「meatless meat」などという言葉をウェブサイトのヘッドラインでよく見かけるようになりました。
その火つけ役となっているのは、約10年くらい前に起業したアメリカのベンチャー企業、ビヨンド・ミート社とインポッシブル・フード社です。

両社がそれぞれ開発した豆や穀物などを使った植物由来の代替肉は従来のべジミートとは違い、味、食感が限りなく肉に近く、調理中も肉を焼いているような感覚になると言われています。
代替肉は数年前から出回っているのですが、最近、その需要は急増しています。理由としては、ミレニアル世代を中心とした動物や自然環境保護への意識の高まりや、中高年層の成人病予防への知識が深まったことで、ベジタリアン(菜食主義者)やヴィ―ガン(絶対菜食主義者)になる人や肉食を減らす人が欧米で増え、代替肉への関心が高まったからだと言われています。
今年は特に、バーガーキングなどのファーストフードでも新商品として売り出され、誰もが、身近なところで宣伝を見かけるようになり、その人気に拍車をかけています。
また、ビル・ゲイツなどの著名人からの出資を受ている、ビヨンド・ミート社は今年5月に新規株式公開し、投資家たちからも注目を集め、代替肉の経済効果が期待されているのです。

「ビヨンド・バーガー」は懐かしい味がした!

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アメリカに住む筆者も早速、「ビヨンド・バーガー 」とバーガーキングで「インポッシブル・ワッパー」を購入し、試食してみました。
生肉のまま売られている、ビヨンド・ミート社のビヨンド・バーガーはピンク色でさわった感触も肉を連想させます。
調理している時も、本物のハンバーグを焼いているような、肉汁みたいなものが出るため、肉好きの人が視覚からも受け入れられるように工夫されています。
あくまでも個人的な感想ですが、日本で販売されている「マルシンハンバーグ」に似た懐かしい味がしました。
インポッシブル・フーズ社の「インポッシブル・ワッパー」はバーガーキングで調理されているものなので、味は店によって多少異なるのでしょうが、肉の味と言うよりも「ファーストフードのバーガー」の味がしました。
ということは、良くできているということなのか、それとも、そもそもファーストフードで使用する肉のレベルでは代替肉と大差がなく、食感とチーズやドレッシングの味でごまかされてるということなのかもしれません。
SNSやウェブメディアなどでも、「本当に肉の味なの?」という議論を見かけますが賛否両論です。
米ニュース解説メディア「Vox」では、ある人にとっては十分肉の味かもしれないが、そうでない人もいる、結局は個人の味覚や、食経験よるのだろう、といいます。

筆者の意見としては、本当の肉の味を求めたいというのなら、どちらもやはりやや無理はあるけど、あくまでも、肉味の植物ベースのたんぱく質なのだと思えば、それなりに美味しいと思いました。

健康的メリットは少ない? なぜ「代替肉」を買うのか?

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気になるのは健康面ですが、残念ながら、成人病などを気にする人にとっては決して健康的な食品とは言えないということが分かりました。
米ハーバード大学医学部のハーバードヘルス出版が発信するブログで、マサチューセッツ総合病院、臨床栄養士エミリー・ゲルソミン氏は、これらの代替肉には本物のハンバーグのような味や中心部に赤い肉汁をつくるために、牛肉と同等レベルの飽和脂肪が含まれている、と発信しています。
また、彼女が表示した代替肉と牛肉や鶏肉の比較表をみると、牛肉の約5倍近くの塩分が含まれていることが分かりました。
また、植物由来とは言えども、高度な加工処理が健康的な栄養価を落としてしまうので、健康的なメリットは少ないと指摘しています。
しかし、良い面として、動物性タンパク質に匹敵する量のタンパク質がとれる。特に、インポッシブル・ミートでは植物性タンパク質には欠けがちなVitamin B12などが強化されているとのこと。
また、家畜に使用されがちな、成長促進剤、抗生物質が使われていないことも安心要因の一つです。
それにしても、健康的メリットが少ないというのなら、バーガーキングの「インポッシブル・ワッパー」の$6はやや高いのではと思いました。
結局、今のところ代替肉の主な役割は、畜産の為の森林伐採や水の大量使用を減らすなどの自然環境や動物の保護ということでしょう。代替肉は、エシカルなたんぱく質だということです。
より多くの人に選ばれ、環境保護に好影響を与えられるようになる為には、健康面への改良が重要課題のようです。
参考記事:
K. ブリーン

K. ブリーン

アメリカの某大学経済学部卒業。主に社会経済や映画の事などを書いてます。ピラティスにはまり、指導員資格を取りました。

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