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カナダの南部、アメリカとの国境付近に位置するトロント。カナダでは最も人口が多く、金融の中心として発展してきました。市制が敷かれたのは19世紀に入ってからですが、それ以降、移民の移住も多く、今ではコスモポリタンの街と言われています。そんなトロントの生活についてお伝えします。

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2020.3.20

トロントはどんな所?

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寒い国というイメージが強いカナダですが、南部のオンタリオ湖の湖畔に発展したトロントは、比較的穏やかな気候となっています。夏の最高平均気温は27℃、冬の最低平均気温は-9℃ほど。年間の降雨日数は113日、降雪日数は44日です。
トロントは、18世紀にこの地域に渡ったヨーロッパ人が築いた町。当初、「ヨーク」という名前が付けられ町が築かれました。アメリカがイギリスと戦争に入った時には、アメリカ軍に町を占領されるなど苦難な時代もありましたが、1834年に町の名前を現在のトロントに改名し、正式な市制を敷くことに。「トロント」とは、原住民「ヒューロン族」の言葉で「集まる場所」を意味します。
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今ではカナダで最大の都市に発展したトロント。その人口密度を見てみると、市街地で4,334人/㎢、トロント全域では945人/㎢となっています。大都市ではあるけれども、東京23区の人口密度約15000人/㎢に比べるとずっと少ないということになります。それだけに、都市の便利さを享受しながら、ゆったりとした快適な生活が送れるのもトロントの特徴です。
トロントの街のもう一つの特徴は、世界各地から移住した移民が多いコスモポリタンであること。そのため、1つの街にいながら多文化を体験できるという側面があります。

トロントで見逃せないエンターテイメント街

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観光でトロントを訪れるときにはいくつかのスポットを見て回るだけで終わってしまいますが、トロントに、ある期間住んで楽しみたいときに見逃せないのが「エンターテイメント街(Entertainment District)」です。2008年に開発が始まった比較的新しいこのエリアは、トロントの湖岸近くにあり、劇場、美術館、博物館、スポーツ施設などが密集。カナダ国内だけでなく世界のトップクラスのコンサートやショーが公演され、幅広い文化を楽しむことができます。またモダンな建物だけでなく歴史の長い建築物も残っているので散策をするのにも楽しい所です。

公式サイト:https://torontoed.com/

五大湖で休暇を満喫

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トロントの滞在中にもう一つ時間をかけて楽しみたいのが五大湖の探索。見どころがたくさんあるエリアなのですが、五大湖の内、ミシガン湖はそのすべてが、そして他の4つの湖は南側の半分がアメリカに属します。そのため、そうしたエリアを観光するときはアメリカの入国条件をあらかじめ調べておく必要があります。

では各湖の見どころを見てみましょう。

一番身近なオンタリオ湖の観光では、湖の南側にあるナイアガラの滝の観光は絶対見逃せませんね。幸いにもここはカナダ側から観光できます。

ミシガン湖とヒューロン湖の合流地点にあるマキナック島は、決して大きな島ではありませんが、ヨーロッパ風の建物が並び、歴史感溢れる町並みが残っています。ここでは島の街歩きを楽しみましょう。

島の大きさとしてマキナック島とは対照的なのがヒューロン湖のマニトゥーリン島。淡水湖にある島としては世界最大。その上島の中にいくつかの湖があり、大自然に恵まれた所です。ここではカヌーやキャンプ、乗馬などアウトドアが楽しめます。

エリー湖畔のサンダスキーにはたくさんのテーマパークがあります。

五大湖の中で一番北にあるスペリオル湖では、冬になると「氷の洞窟」ができます。これは岩の洞窟に氷が張ったのではなく、氷が盛り上がってできたまさに氷そのものの洞窟。この湖の寒さは厳しいですが、チャンスがあったらぜひ訪ねてみてください。

トロントの生活費

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前述のように、トロントはカナダ最大の都市ですが、人口密度は東京と比べると大変低いため、生活費の面では、東京の生活とは異なる側面があります。
住居費を見るとトロントの方が東京よりも約14%、そして外食費ではトロントの方が約36%高くなっています。その一方で、スーパーマーケットなどでの食品はトロントの方が約15%安いという結果に。こうした生活費をまとめた全体的な生活費の高さでは、トロントは456ヶ国中60位になっています。

情報元:https://www.numbeo.com/cost-of-living/compare_cities.jsp?country1=Japan&country2=Canada&city1=Tokyo&city2=Toronto&tracking=getDispatchComparison

トロントの家賃相場

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以下の数値は、トロントのアパートの平均的な家賃を示しています。これを見ると、市街地では1LDKのアパートが東京の平均的な1LDKの家賃よりかなり高いことがわかります。もちろん3LDKになれば家賃は上がりますが、市街地の3LDKの家賃を東京のそれと比べてみると、割安になっていることから、トロントの市街地では、1LDKの需要が高いことがわかります。

1LDK: 市街地 C$2,208 (¥168,373)
    郊外  C$1,761(¥134,302)
3LDK: 市街地 C$3,528(¥268,992)
    郊外 C$2,635 (¥200,915)

その他の経費
水道・光熱費 :C$145.17(¥11,067)
インターネット:C$68.22(¥5200)

歴史を感じさせるビクトリア様式の住居

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トロントの住居としてユニークなのが19世紀後半に作られたビクトリア様式の建物です。こうした伝統的な歴史を感じさせる住居はトロントの市街地の中でも、最初の頃に築かれた古いエリア(エンターテイメント街の周辺)によく見られます。もしこうした家を直接借りたり、ホームステイやシェアハウスなどで借りられるチャンスがあれば、住んでみるのもおもしろいと思います。

トロントの外食事情

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トロントのレストランでの食事は決して安くはありませんが、移民の多いトロントにはエスニック街がたくさんあり、世界中の料理が楽しめます。エスニック街の主なものをあげてみましょう。
・アラビアンタウン
・ブロアー・ウエスト・ビレッジ(ヨーロッパ)
・ブラジリアンタウン
・キャベッジタウン(アイルランド)
・チャイナタウン
・コリアンタウン
・リトルイタリー
・グリークタウン
以下は外食の平均的な料金です。
大衆向けレストラン:C$20(¥1,524)
中級レストラン、2人で3コースの食事:C$88(¥6,709)
ビール:国産品(500cc)C$8.00(¥609) 輸入品(330CC)C$9.00(¥689)

トロントの名物

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トロントに行ったらまず食べたいのがプーティンとピエロギ。プーティンは、フライドポテトに、チーズを振りかけ、その上にグレイビーソ―スをかけたものです。
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ピエロギは粉で作った皮に肉や野菜を詰めて油で揚げたりフライパンで焼いたりしたもの。一見餃子のようにも見えます。店によっては、具にマッシュポテトやチーズを入れる所も。またスーパーでも冷凍食品として売っています。

120軒の店舗を持つセント・ローレンス・マーケット

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トロントでの食品の買い物はもちろん一般のスーパーマーケットでできますが、トロントの中心街にある「セント・ローレンス・マーケット」にも足を運んでみてください。
このマーケットは日・月以外の毎日オープン。生鮮食品や手工芸、お土産品など約120軒のお店が出店しています。2012年にはナショナル・ジオグラフィックによる「世界で最高の食品市場(World’s Best Food Markets」にも選ばれています。
またカフェやレストランなどもあるので、買い物をしながら食事も楽しめるスポットになっています。

公式サイト: http://www.stlawrencemarket.com/
一般的な食品の値段

ミルク(1ℓ):C$3.05(¥232)
食パン(500g):C$3.07(¥234)
米(1㎏):C$3.93(¥299)
卵(1ダース):C$3.62(¥275)
チキン胸肉(1㎏):C$15.41(¥1,175)
ビーフ(1㎏):C$21.91(¥1,670)
リンゴ〈1㎏〉:C$4.35(¥331)

トロントの交通費

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トロントでは、TTCと呼ばれる公共交通機関が発達しています。TTCはToronto Transit Commissionの略。この中には地下鉄、バス、ストリートカーと呼ばれる路面電車が含まれます。これらの交通機関を利用するときは、共通の料金表に基づいたチケットを利用します。
公式サイト:http://www.ttc.ca/ (サイトの一番下に自動翻訳機能があります。)

公共交通機関片道切符:C$3.25(¥247)
タクシー 初料金:C$4.00(¥304)
タクシー 時間毎料金:C$2.00(¥152)
ガソリン:C$1.19(¥90)

まとめ

冬の寒さが厳しいと言われるカナダの中では比較的温暖な気候のトロント。カナダ最大のこの街には高い文化を享受できるエンタメエリアやエスニック街があり、また歴史の長い建物が残っています。同時に、周囲には五大湖が横たわり、一歩足を踏み出すとそこには大自然が。魅力あふれるトロントでの生活、ぜひ計画してみてください。
setsukoT

setsukoT

オーストラリアのメルボルン在住。現地の日系企業で翻訳・通訳をする傍らフリーランスライターとして記事を執筆。2017年からはフルのライターに。カルチャーや社会に関心があり、趣味は旅行とアート。旅行はほとんどの場合、自分たちで計画して旅している。

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「「いつかは住みたい」トロントでの生活費」のライター