山口県萩市は明治維新胎動の地と呼ばれ、数多くの志士を生み出したところです。2015年には、「明治日本の産業革命遺産」として5カ所が世界遺産の構成資産に登録されました。登録された史跡を訪ね、伝統文化に触れ地元のグルメを味わう、そんな感動の旅に出かけてみましょう。【死ぬまでに一度は行きたい世界遺産 第1回】
2020.1.18
萩ってどんなところ?
本州最西端にある山口県は、北側は日本海、南側は瀬戸内海に面しています。その日本海に面した北側にある阿武川が、海近くになって2つに分かれ三角州を作りました。今から約400年前、毛利輝元がこの三角州の西端にある指月山(しづきやま)のふもとに、萩城を建て、それ以来明治になるまで、萩は城下町として栄えました。
日本では江戸や京都などの主要都市からは遠く離れていますが、朝鮮半島からは、わずか50kmという近さ。そのため海外勢力への危惧が生まれ、そこから明治維新の原動力となった吉田松陰や高杉晋作などの偉人が輩出されたと言われています。
日本では江戸や京都などの主要都市からは遠く離れていますが、朝鮮半島からは、わずか50kmという近さ。そのため海外勢力への危惧が生まれ、そこから明治維新の原動力となった吉田松陰や高杉晋作などの偉人が輩出されたと言われています。
世界遺産の構成資産に登録
幕末から明治維新のころの史跡が複数残る萩では、2015年、市内の史跡の一部が「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として登録されました。
登録されたのは、萩反射炉、松下村塾(しょうかそんじゅく)、萩城下町、など全部で5ヵ所です。
登録されたのは、萩反射炉、松下村塾(しょうかそんじゅく)、萩城下町、など全部で5ヵ所です。
製鉄を試みた萩反射炉跡
萩反射炉は1856年に建設されたものです。反射炉とは、鉄を作る時に、鉄鉱石を溶かしたり製錬するのに使う炉のことです。この時期、黒船の来航など海外からの往来が増え、侵略の危機を感じた萩藩は、大砲などの武器を作るために試行錯誤でこの反射炉の建設を始めました。炉は最終的には完成しなかったと言われていますがその後が現在も残っています。
吉田松陰が開いた松下村塾
松下村塾は時代物のドラマなどでおなじみの吉田松陰が開いた私塾です。浦賀で見た黒船に大変関心を持ち小舟に乗って黒船に向かうのですが、途中で幕府に捉えられ自宅監禁の身に。その時に開いたのがこの私塾でした。
江戸時代のたたずまいが残る萩城下町
構成資産としての萩城下町には、萩城跡、武家地、町人街の3つのエリアが含まれています。碁盤の目に区画された城下町に、白壁と茶褐色の木材で作られた江戸時代の情緒がただよう武家屋敷や町人家が建てられ、その多くが今でも良く保存されているため見学することができます。
城下町を見学するには、モデルコース「萩城下町見学コース」に沿って散策するのがおすすめです。
公式サイト: http://hagishi.com/course/jyokamachi.html
料金:邸宅などの入場料(100円~620円)
公式サイト: http://hagishi.com/course/jyokamachi.html
料金:邸宅などの入場料(100円~620円)
萩の春のイベント
萩には400年の昔から伝えられる伝承文化を現代に残すために、一年を通してさまざまなイベントが開かれますが、ここでは春に開かれるイベント3つを紹介します。
萩城下の古き雛たち
「萩城下の古き雛たち」はひな祭りの時期を挟んで、萩の城下町の各家に残るひな人形約1200体を展示するイベントです。2020年の開催期間は2月3日(月)~4月3日(金) 。最終日の4月3日には、流し雛の行事が行われます。また、萩には「八朔雛」と呼ばれる土人形もあり、これは8月1日に展示されます。
公式サイト:http://hagishi.com/search/detail.php?d=900048
見学料金:展示している家によって異なる(100円~620円)。無料の所もあり。
公式サイト:http://hagishi.com/search/detail.php?d=900048
見学料金:展示している家によって異なる(100円~620円)。無料の所もあり。
萩・椿まつり
萩市の笠山には椿の群生林があります。ここには25,000本の椿が生えていて毎年2月中旬から3月下旬にかけて椿の花が満開になります。これに伴って「椿まつり」を開催。2020年の開催期間は2020年2月15日(土)~3月20日(金)。期間中、週末にはガイドによる見どころ案内やクイズラリー、フォトコンテストなどが行われます。
公式サイト:http://hagishi.com/search/detail.php?d=900005
公式サイト:http://hagishi.com/search/detail.php?d=900005
萩焼まつり
毎年ゴールデンウィークの時に5日間に渡って開かれるのが「萩焼まつり」です(2020年の日程は未発表)。江戸時代に始められた萩焼は、土の良さを活かした素朴な陶芸ですが、湯呑など、使っているうちに茶の成分が陶器の細かい穴に染み込み、独特な色合いを作るため、「萩の七化け」として知られています。
海の幸がうれしい萩のグルメ
日本海に面した萩では、海の幸をたっぷり味わうことができます。
あま鯛
超高級魚と言われる「あま鯛」。あま鯛は山口県の名産ですが、その中でも萩の水揚げは70%を占めています。漁場が近いので高鮮度を保ちやすいのが特徴。ぜひ地元萩で取れたてのあま鯛を味わってください。
もう一つ紹介したい萩の海の幸は「金太郎」。一般的には「ヒメジ」と呼ばれる魚です。その金太郎切ってあぶって寿司にしたのが金太郎のあぶり握り。
アクセス
新幹線で「新山口駅」下車。バス「スーパー萩号」の東萩駅行きに乗車し萩市内で下車。バスの所要時間60~75分。
まとめ
明治維新胎動の地として知られる山口県の萩市。日本の主要都市から遠く離れ、決して大きな町ではありませんが、幕末から明治維新に掛けて日本を揺るがした多くの志士が輩出され、その軌跡を辿ることができる感動の街です。史跡のいくつかは2015年に世界遺産の構成資産として登録されました。歴史の跡を訪ね、伝承文化に触れ、特産の海の幸を味わう。そんな旅にぜひ出かけてみてください。
写真提供:萩市観光協会
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オーストラリアのメルボルン在住。現地の日系企業で翻訳・通訳をする傍らフリーランスライターとして記事を執筆。2017年からはフルのライターに。カルチャーや社会に関心があり、趣味は旅行とアート。旅行はほとんどの場合、自分たちで計画して旅している。