なかなか気分が上がらないとき、きっかけになる好きなモノがあれば、もっとスムーズに実行できそうです。身の回りにあるモノにこだわりを持つだけで、少しモチベーションが上がるのだとしたら、私たちはもっとモノ選びにこだわる必要があるでしょう堀口英剛著『人生を変えるモノ選びのルール』 より、ミニマリストではなく「モノマリスト」という、ときめくモノに囲まれて生きるあり方をご紹介します。
2019.5.23
ストーリーがあるモノ選び
せっかく多くの選択肢が選べる豊かなこの世の中だからこそ、一番自分が良いと思える「ときめくモノ」を側に置いておきたいと思いませんか。
3ページより引用
著者は、大学在学中に現ブログの前身「NUMBER333」を開設し、自分がときめくこだわりのあるモノを紹介し始めます。1年3ヶ月で月間100万PVにまで成長。大学卒業後は、Yahoo!JAPANに入社し、本業の傍らに副業としてのブログ運営を継続していきます。
2014年には、ブログ名を「monograph」とし、現在は株式会社dripの代表取締役を務めています。
「monograph」には、著者自身が「これだ!」と思った、ときめくモノのみが掲載されていますが、その読者もまた、こだわりの強い人が多いようです。
「monograph」には、著者自身が「これだ!」と思った、ときめくモノのみが掲載されていますが、その読者もまた、こだわりの強い人が多いようです。
モノによって良さや理由はさまざまですが、一貫しているのはストーリーがあるということ。スペックや価格だけではなく「なぜ、それを持っているのか」「なぜ、それを選んだのか」が大事な軸になっています。
自分の服装、部屋の中、カバンの中身には、なんとなく選んだこだわりのないモノが紛れ込んでしまっているものです。モノは自分を映す鏡であるという著者ですが、自分の周囲にあるモノはすべて自分が行った選択の証であり、取捨選択の精度を日々磨いていくことが重要であるといいます。
たしかに、小さな選択の積み重ねは、やがて人生に直結するものであるといえるでしょう。
高価なものでなくてもいいけれど、きちんと理由を語ることができるモノを自分で選択していくことは、自分らしい人生を歩む一歩になるといえそうです。
高価なものでなくてもいいけれど、きちんと理由を語ることができるモノを自分で選択していくことは、自分らしい人生を歩む一歩になるといえそうです。
気分を少しだけ軽くしてくれるモノ選び
どれも一つひとつが私の気分を少しだけ、ふわりと軽くしてくれるときめくモノたちです。このときめくモノが周りにあることによって、私の心の平穏は保たれています。
17ページより引用
たとえば、「袖を通すだけで人に会いたくなる、風合い豊かなリネンシャツ」、「どこまでも歩いて行けそうな足に馴染む革靴」など。著者が紹介するモノには、ただ単にデザインが優れているということだけではなく、気分を少しだけふわりと良くしてくれる力があることがわかります。
今、世の中はモノなんていらないというミニマリズム志向も大いに流行っていますが、著者の生活は真逆の方向を指しています。
だからといって、不要にモノを持ち、増やすという意味ではなさそうです。むしろ、無駄なモノは省き、自分が本当に必要としているモノと出会う力を見極める。現代を生き抜いていくための重要なスキルであるといえるでしょう。
だからといって、不要にモノを持ち、増やすという意味ではなさそうです。むしろ、無駄なモノは省き、自分が本当に必要としているモノと出会う力を見極める。現代を生き抜いていくための重要なスキルであるといえるでしょう。
そして、著者は自らを典型的な「カタチ」から入るタイプであると称しています。何をするにしても、始める前からどんな道具やモノが必要なのかを調べるのだとか。そして、その道具を揃えて自分に馴染む姿を想像してみる。そうすることでモチベーションが上がるのだといいます。
物事は始めることよりも継続して行くことは困難であり重要です。使っていて着ていて、楽しいと感じられるモノの力を最大限借りる。そんなモノとの付き合い方があってもいいのではないでしょうか。
モノマリストという生き方
本著には、著者にとってのモノ選びのマイルールがいくつか紹介されています。その中に「1ジャンル1アイテム」というものがあります。それは、物欲にまかせて量を欲するのではなく、納得のいく逸品を1つ決めて行く考え方です。
このルールの性質上、新しく何かを買ったら一つ前の世代のモノは捨てなければなりません。それゆえに、買い換える必要が本当にあるのか、どこが優れているのかということを考え抜く。一つひとつふるいにかけて洗練させていくことで、いつしか自然に優れた愛着があるモノが揃っていくようです。
さらに、「長く使えるモノを選ぼう」ということもマイルールの一つ。極力シンプルで、オーソドックスで、トラディショナル。耐用年数だけではなく、長く使っていて飽きがこないかなど、流行りに踊らされないこともポイントであるといいます。
一つのモノに真摯に向き合い、愛を持ってその魅力を語るモノマリストという生き方。厳選した愛すべきモノたちは、きっと人生を豊かに彩ってくれることでしょう。
タイトル: 人生を変えるモノ選びのルール
著者: 堀口英剛
発行: ポプラ社
定価: 1,404円(税込)
著者: 堀口英剛
発行: ポプラ社
定価: 1,404円(税込)
「ミニマムな暮らし」という現代の流行を考える
音楽も映画も書籍も、もはやすべてデータとして保存が可能な時代。モノを所有せず、身の回りはできるだけすっきりと、というスタイルがじわじわと浸透しつつあります。その潮流について心理学者のマッテーオ・ランチーニが語ります。
(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家/絵本作家/ブックコーディネーター 。元・銀行員であり図書館司書。現在は、女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。