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ド派手なレッドヘアにビッグマウス。NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場し大きな話題をさらったOCEANTOKYOのヘアスタイリスト・高木琢也さんだ。人気NO,1美容師からカリスマ経営者へと変貌をとげた若き成功者にとって「お金とは?」を訊いた。

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2019.1.29
高木さんは、5年前、ライバル店のNO1.スタイリスト・中村トメ吉さんとタッグを組んで「OCEANTOKYO」を原宿の地で立ち上げ、若者たちのカリスマ的存在として人気を集めます。現在では、東京(すべて渋谷区)に5店舗、大阪に1店舗を展開する大成功ぶりです。
STAGE編集部:OCEANTOKYOの立ち上げのきっかけや当時の気持ちを教えてください。
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高木:前のサロンとはけんか別れで辞めているので。不満だったのは、「年功序列」。実力社会と言うよりは、年上だから店長になれる、といったことです。撮影モデルさんの選択も年上から。10人いたら僕は一番若いので10番目です。上から選んでいくと、僕が担当したいモデルさんじゃない場合があるじゃないですか。実力でもランキングでも結果が出てるし、「僕にやらしてほしい」「いやいや、お前もう売り上げているからいいじゃん」と言われて。最終的には撮影もなくなっちゃう。
そのサロンで1番売れていたのが僕で、ライバル会社では今の相方が1番売れていて、お客さんがかぶっている部分もあるんです。僕が切ったり、あいつが切ったり。でも、自分は自分の売り上げもあげたいし、自分のお店のほうを評価してもらいたいから、より頑張るというか。
原宿という所はお洒落グループの最先端の子たちだけをピックアップして「お洒落して来なきゃだめだよ」みたいな雰囲気があったんです。狭いマーケットで少人数のお客の取り合いになる。それを俺はけっこう「くだらねぇな」と思っていて。「本当は行ってみたいけど、俺なんかが…」という人って結構いると思うんです。その人たちをイケてる人たちが「お前も一緒に行かね?」と言ってくれたら、行きやすいし、行ってみたら「うわ、本当にかっこよくなった」となったら、1歩踏み出せないでいた10人が来るかもしれない。
そうなれば、お洒落グループ5人だったところが、15人になって、僕で5人切っても、あいつで5人切っても、どこのサロンで5人切っても、僕の数字も上がるし、もともと2、3人だったものがどんどん増えていって、もっといいじゃん、みたいに考えていました。
僕は田舎で育ったから、原宿の美容室でかっこよくなりに行くのに、洋服気にして、自分の髪型気にして、質問も「こんなこと言っていいのかな」とか、「これ聞いたら頭おかしい人と思われないかな」という気持ちがすごくわかる。自分がそうだったから。
原宿ってそういう感じで緊張する所だったから、緊張しないでもいいんだ、という所にしたいというか、そういう美容室をつくろう、という気持ちでしたね。他店に入ろうと思った時もあったんですけど、「誰かに従うの嫌かも、やめておこう」と(笑)。
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ドラゴンボールでいうと、悟空が強いじゃないですか。新しい敵キャラが出て、そいつも強いじゃないですか。「えっ、もう勝てないじゃん。どうするんだろうな」となったときに、フュージョンしたでしょう、悟空とベジータで。どんだけ強くなるの?みたいな。そこのわくわく感と同じでした。僕らも一応メンズの中で1、2だったから、そこから上がっていく感じが何となく見えていたから、「3年やって成功したらそのままでいいし、だめだったらやめよう」と言い合ってはじめました。当時は共同経営もすごく否定された。でも逆に10年経ったときに共同経営がスタンダードになってるかもしれない。先のことはわからないけど、僕たちはどこにも屈しないサロンを目指そう、と。
STAGE編集部:おふたりで、どんなサロンを目指したんですか?
高木:前のサロンでも、今のサロンでも、やっていることは一緒で、自分の得意とする必殺技みたいな部分は持っています。うちの王道スタイルみたいのがあるじゃないですか。前のサロンも1つあったんです。でも、僕はその人に合った髪型にしたいから、「この人王道じゃないほうがいいよ」「この人は刈り上げして、オールバックでもかっこいいじゃん」とか「この人は金髪で」とかと思っていても、「うちのサロンのスタイルに反する」と。「え?何言ってるんですか」みたいな。僕は「個性的な髪型もできるし、王道の髪型もできると売ったほうがいい」「だって、お客さんに合わせるものだから」と言っていたけど、通らないので、「じゃあ、証明してやったほうがいいな」と思いました。「お前らの感性ずれているんだよ」というのをやるのには、自分でつくるしかないなと。一生反抗期みたいな感じですね(笑)。
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今、うちだけが儲かっているとか言う人いるけど、お金とかそんなことはどうでもいいんです。一人一人の可能性を拡げたい。そして美容師の可能性も拡げたい。「ヘアカラーって楽しい」「スタイリングすると昨日の自分と違う」とかそういうのをまだ知らない人達に伝えたい。そして「日本を変えたい」。OCEAN TOKYOだけでじゃなく、美容師がすげーって時代を俺たち2人で作ろうと思います。
STAGE編集部:お客さんに対して心がけているのは?
高木:お客さんがやりたい髪型でも、「これって似合わないよ」とか「今はこの髪型にならない」とははっきり言います。「こういう感じだったらできる。どうしてもこの髪型にしたいなら、2カ月我慢してくれないと、こうはならない」だとか。人生相談されることもあります。「彼女に振られて俺もうだめです」「髪型よくてもさ、内側そんな感じじゃだめじゃん」みたいなのは、はっきり言える。できるだけ素直に相手にも分かるような言葉で伝えるように意識はしています。
STAGE編集部:高木さんが不満に思っていた「年功序列」はOCEAN TOKYOにはない?
高木:基本的に実力社会です。若かろうが年上だろうが結果次第。若くても結果があれば上がれます。過程ももちろん大事ですけどね。年功序列ではなく、全員をスター軍団にしたい。
次回は、「経営者・高木琢也」に迫ります。
高木琢也

高木琢也

1985年7月14日生まれ。千葉県出身。早稲田美容専門学校を卒業後、
都内1店舗を経て、2013年9月に中村トメ吉と共にOCEAN TOKYOを設立。わずか4年で渋谷・原宿に5店舗を展開。『月間技術売上1200万』の偉業を成し遂げ、最年少の美容師として日本武道館でのヘアショーに出演。ホットペッパー全国メンズヘアスタイル部門では1万7千作品の中から2017年・2018年と2年連続日本一に選ばれ、今最も注目を集める美容師。年間約20回のセミナーは即日完売となり、美容界トップクラスの指名数、リターン率を誇り、発信するスタイルはすぐさま流行を創り出す。またサロンワークだけでなく、TV・CMの出演、一般誌・業界誌・ヘアショー・セミナーなど活躍の場を広げている。【最高の似合わせ】を武器に男女問わず多くの芸能人、モデルなどから絶大な支持を集め、止まることの知らない美容界の風雲児と呼ばれている。

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「〈高木琢也|OCEAN TOKYO代表〉インタビュー/「くだらねぇ」が出発点」のライター