あなたの自宅の本棚には、どんな本が並んでいるでしょうか。あなたの本棚に並んでいる本は、あなた自身を映し出す鏡。だったら、意識して本棚をセットアップすることで、自分を変えることだってできてしまうのです。──『美しく生きる女のお金の作法』特別編集[第6回]
2017.11.7
本棚を眺めるだけで、その人自身がありのままに見える
仕事やプライベートで訪ねた先に本棚があると、どんな本が置かれているかついつい見てしまいませんか?
「へえ、建築に興味があるんだ。料理も好きなのね」と、本棚を見ればその人の興味関心が手に取るようにわかります。普段のお付き合いの中からは見えてこなかった意外な一面も見えてくるかもしれません。
本は知性の源で、本棚は持ち主の知性の履歴を表すもの。最近は無料で読める情報がインターネットにあふれていますが、質の高い情報は、やはりお金を払って手に入れられる本から得られることが相対的に多いのも事実。
また、10年、20年が経過しても手にとって読み返すことができる情報であることも本のよさといえるでしょう。
自分の本棚との「正しい付き合い方」
あなたの本棚に並んでいる本は、あなた自身を映し出す鏡でもあります。自分自身をしっかり見つめるためにも、単なる収納としてではなく、心構えをもって本棚と付き合うことが必要です。
そのためにルーチンにしたいのが、「時々眺める」ということ。
本棚の中身は自分自身の興味関心を映し出す鏡です。普段あまり意識せずに本を買っていたとしても、まとめて俯厳してみると、「最近こういうジャンルに特に興味があるんだな」と客観的に認識することができます。
一方で、「以前はこういうジャンルの本をよく読んでいたけど、最近はほとんど手に取らなくなったな」「ためになった本だからと思って大事に保管しておいたけど、今の自分にはもう必要なさそうだな」といった、自分の興味関心の軌跡や成長も見えてきます。自分自身の“頭の中”を客観的にチェックする意味でも、本棚を時々眺めることをルーチンとして取り入れてみましょう。
本棚には二つの時間の流れがある
ちなみに、私の本棚の中身を少し紹介すると、ミュージカルやジャズが好きなので、6段あるうちの2段は、過去に観に行ったミュージカルのパンフレットや戯曲や楽典、楽譜などが占めています。これらは“保存版”として、古いものでは学生時代から不動の位置にいます。
次に多いのが、料理のレシピ本。パパッと作れるおつまみや時短メニューのレシピ本から、糖質オフやデトックスメニューなど健康を意識したメニューのレシピ本。一番の古株は、大学に進学し、ひとり暮らしを始めた時に思い切って購入した、辞書のようなぶ厚い料理大全。かれこれ20年ほど本棚に鎮座しています。
そして、時流に応じて絶えず入れ替わっているのがビジネス本と小説です。
ビジネス本は、私にとってはその時その時に足りない栄養素を補っているような感覚。ですので、本棚の中での入れ替わりも激しくなります。
小説は、人によっては何度も手にとって読み返すという人もいるかもしれませんが、私はせっかく時間を費やして小説を読むなら、未知の世界を体験したい派。読み終わってしばらくは本棚に入れておきますが、収納スペースがなくなると入れ替わりの対象となります。
ずっとそこにある固定本と、読まれたら消えていく流動本。こうして見ると、本棚には二つの時間の流れがあることに気づきます。
固定本のジャンルは一生大事にしたい趣味やライフワークに関わるテーマ。流動本のほうは、常にアップデートしていたい学びや、一時的な興味関心で手に取ったもの。そんなふうに区別して本棚を眺めてみると、また新しい自分を発見できそうです。
定期的に本棚の“リバランス”をしよう
「リバランス」というのは資産運用でよく使われる用語で、「高くなった株の一部を売って、安い株を買う」「海外株の割合を減らして、日本株を買う」など、状況に応じて資産全体のポートフォリオを調整することを表します。
その瞬間には「これがベスト」と思っていても、環境には変化がつきものです。環境の変化に対応しながら内訳をバランス調整することは、資産運用で安定的なリターンを得るためにとても大切なことです。
私がおすすめしたいのは、このリバランスを、本棚でも実践してみるということ。
たとえば、年末の大掃除の時やお正月休み、年度初めの4月など、1年に1回、本棚を眺めるだけでなく「これからも必要な本」「もう卒業してもいい本」を取捨選択していくのです。今の自分にとっての要・不要を見極める作業は、本棚を眺めることよりもさらに自分と真正面から向き合うことにつながるはずです。
たとえば、年末の大掃除の時やお正月休み、年度初めの4月など、1年に1回、本棚を眺めるだけでなく「これからも必要な本」「もう卒業してもいい本」を取捨選択していくのです。今の自分にとっての要・不要を見極める作業は、本棚を眺めることよりもさらに自分と真正面から向き合うことにつながるはずです。
“3年先の自分”になりきってスペースを埋める
そして、取捨選択の結果、もしも本棚にスペースが空いたら……。
「“3年後の自分”なら、どんな世界に興味を持っているだろう」「3年後はどんなライフスタイルを送っていたいかな」と、“3年後の自分”のイメージを膨らませながら、空いたスペースをどんな本で埋めるかを想像してみてください。そして、イメージが湧いたら、まずはそのスペースを埋めてみるのです。その場でAmazonを検索して購入するのもいいですし、次の週末に大型の書店に出かけてみるのもいいですね。
そうしてセットアップした“3年後の自分”のエッセンスが入った本棚は、今だけでなく、未来の自分をも映し出す鏡になります。これを時々眺めることは、今の自分を見つめるだけでなく、未来の自分のイメージを持ち続けることにもつながります。
本棚のセットアップを通じて将来の自分をデザインし、それを眺めることで自分が変わり、人生が変わる――本棚は、そんな可能性を秘めた貴重なツール。あなたもぜひ、単なる収納としてではなく、自分を導いてくれる大切なパートナーとして本棚とお付き合いしてみませんか。
(記事は、『美しく生きる女のお金の作法』から本サイトのために特別編集したものです。)
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大竹のり子
ファイナンシャルプランナー株式会社エフピーウーマン代表取締役
出版社の編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は40冊以上に及ぶ。ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。http://www.fpwoman.co.jp/