観光には気候的に2月がベストと言われるカンボジアの世界遺産「アンコールワット遺跡群」。トリップアドバイザーの「トラベラーズチョイス賞」で2017年と2018年、2年連続1位に輝きました。その人気がいったいどこにあるのか、アンコールワット遺跡群の魅力に迫ります。
2019.2.10
アンコールワット遺跡群とは
アンコールワット遺跡群とは、今から900年前にカンボジアの「アンコール(現在のシエムリップ)」に作られたカンボジア大国の都です。遺跡群として残っているエリアは面積にすると約400㎢。この広大な敷地にヒンドゥー教寺院が大小合わせて600近くも建てられているのです。ちなみに「アンコールワット」というのはそのうちの寺院の一つで、この遺跡群を代表する名前にもなっています。
魅力あふれるアンコールワット遺跡群の建造物
アンコールワット遺跡群の一番の魅力、それは何といっても建物の魅力だと思います。大小合わせて600近くある建物中から、代表的な「アンコールワット」「アンコールトム」「タ・プローム」の3つの建物をご紹介します。
アンコールワット
遺跡群の中でも一番主要な建造物は「アンコールワット」。アンコールワットに着くと600mの長い参道がまっすぐに伸び参道の向こうに複数の尖塔のある「中央祠堂(ちゅうおうしどう)」が見えます。アンコールワットの敷地は南北に1.3km、東西に1.5kmと広範囲にわたり、その周りに幅200mの堀が作られています。
敷地内には建物内のありとあらゆる壁に様々なレリーフが彫り込まれています。その芸術性の高い精巧な彫り物と数の多さに圧倒されます。写真は、アンコールワットの回廊の壁に彫り込まれたヒンドゥー教の神話「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」の話を元にしたレリーフです。
女神像、女官、踊り子など、アンコールワット内のレリーフにはこうした女性をモチーフにした浮き彫りが多くみられます。
アンコールトム
遺跡群のもう一つの代表的な寺院「アンコールトム」は昔、カンボジア王国の都があった所ですが、ここには石像がたくさん作られています。その中でも4つの顔を持った「四面仏顔像」はアンコールトムのシンボルにもなっています。ただ、これらの顔はいったい誰をモデルにしたものかいまだに謎に包まれています。
タ・プローム
まさにジャングルの中の廃墟といえる「タ・プローム」。ここは映画「トゥーム・レイダー」のロケ地にもなった所です。巨木が寺院にはべこり、まるで怪物がその建物を飲み込もうとしているよう。そのありさまは息を呑むばかりです。
アンコールワットこぼれ話 - ジャングルのがれきの廃墟を復元
アンコールワット遺跡群では、現在ほとんどの寺院が威風堂々と建っていますが、1860年にフランスの学者によって発見されるまでは、がれきの山と化したジャングルの中の廃墟だったのです。さらに1970年代に広がったカンボジアの内戦で、建物の多くが破損してしまったため、1992年に世界遺産として登録し、世界の国々から資金や労力を集め現在のように立派な建物に復元したのです。その作業はまるで3Dのジグソーパズルを完成させるような作業だったと言われています。
高品質の工芸品が買える「アーティザンズ・アンコール」
アンコールワットの見学が終わったら、ぜひ訪ねたいのが「アーティザンズ・アンコール(Artisans Angkor)」です。ここは非営利団体が運営する工房。カンボジアの農村地帯に住む人々に仕事を提供する目的で設立されたものです。アンコールワットの手工芸品はマーケットでも買えますが、ここで売っている物はユネスコが認める基準に適った高い質を保証するもの。工房はこれまでいくつかの賞も受賞しています。
公式サイト:http://www.artisansdangkor.com/
公式サイト:http://www.artisansdangkor.com/
カンボジアの民族舞踊「アップサラダンスショー」
アンコールワット遺跡群を訪ねた時に見逃せないのが、ダンスショーとディナーのパッケージ。ここで披露されるダンスは「アップサラダンス」と呼ばれ、かつてアンコールワット遺跡内にある宮廷などで踊られていたものです。当時の衣装と同じデザインを施したダンス衣装を身に付け華やかな踊りを披露してくれます。ダンスショーの会場はシェムリップに複数あります。
カンボジアのグルメ
アップサラダンスとパッケージになったディナーはほとんどがバイキング形式。
その中から、一般的なクメール料理を3つご紹介します。ベトナムとタイの間にあるカンボジアの料理はこの2つの国の料理の影響を強く受けています。
その中から、一般的なクメール料理を3つご紹介します。ベトナムとタイの間にあるカンボジアの料理はこの2つの国の料理の影響を強く受けています。
エビの唐揚げ
スィートチリソース味のエビの唐揚げ。たくさんの野菜と一緒に食べるのが特徴です。
ロックラック
ご飯の上に味付けして焼いた肉と目玉焼きを乗せた料理。レタスなどの野菜と一緒に食べるのであっさり味がうれしい。卵は半熟が一般的。
クイティウ
ベトナムのフォーをカンボジア風にアレンジした麺料理。エビや野菜が入り、あっさりした軽い食あたりが特徴です。
アンコールワット遺跡群旅行のおすすめの季節は2月
熱帯モンスーン気候に属するカンボジアは1年を通して高温多湿の気候ですが、海外旅行についていろいろなランキングを公表している「ドリフト」によると、アンコールワットを訪れるベスト月は2月とのこと。雨が少ない割には気温がそれほど高くなくしのぎやすいことがその理由に上げられています。
アンコールワットの行き方
アンコールワット遺跡群に行くには、現在、日本からの直行便がないので、成田、羽田、関西、名古屋、福岡からJAL、全日空、ベトナム航空などを利用して近隣のプノンペン、ホーチミン、バンコクに飛び、そこで国内線に乗り換えてシェムリアップ空港まで移動します。アンコールワット遺跡群は空港から6kmという近さです。遺跡群を見て回るのにはトゥクトゥクという人力車も利用できますが、不安が残る場合は前もってタクシーやツアーを予約しておくとよいでしょう。
まとめ
カンボジアの世界遺産「アンコールワット遺跡群」では、どこを歩いても息を呑むような圧倒的な風景に出会います。がれきの山と化した廃墟を復元したこと自体にも驚かされますが、実際に復元された建物の素晴らしさも圧巻です。また、工芸品や民族舞踊など見所が多く、訪れる人を心行くまで楽しませてくれます。ぜひ足を運んで、その素晴らしさを堪能してください。
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setsukoT
オーストラリアのメルボルン在住。現地の日系企業で翻訳・通訳をする傍らフリーランスライターとして記事を執筆。2017年からはフルのライターに。カルチャーや社会に関心があり、趣味は旅行とアート。旅行はほとんどの場合、自分たちで計画して旅している。