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「株式会社エイチ・アイ・エス」「現・スカイマーク株式会社」の創業、テーマパーク「ハウステンボス」の再建、「変なホテル」の開業など、次々に新しい事業を立ち上げ成功を収めてきた澤田秀雄さん。澤田社長の新しい発想力や行動力はどこから来るのでしょうか。 生き方や考え方 についてお話をお聞きしました。

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2018.5.5

留学中にはじめた出張者や団体観光客向けのナイトツアーが転機に

STAGE編集部:どんな学生時代を過ごされましたか?
高校生の時に紀伊半島を自転車で旅行したり、北海道を全部回ったり、大学生の頃はヨーロッパで4年半勉強してヨーロッパから全世界を50カ国旅行したり、見たことないもの、知らないものを見たり聞いたり触れたりすることがとても好きでした。
STAGE編集部:なぜ留学先をヨーロッパに決めたのですか?
理由が2つあって、1つは学生時代の北海道旅行。旅行された方はわかると思うけど、北海道をバスを使って陸路で行くととても広いですよね。
その横に北海道よりもっと大きなシベリア大陸とヨーロッパがありましたから、是非行ってみたいと思いました。

2つ目は当時大学紛争があって、大学があまり勉強できるような状態じゃなかったんですね。今では信じられないと思いますけど、みんなゲバ棒を持っていて。(笑)
それで、海外で勉強しようと決めました。
STAGE編集部:ヨーロッパの中でも、留学先をドイツに選んだ理由を教えてください。
当時の学生は、英語圏で留学しやすい、アメリカとかイギリスに留学するんですけど、僕はちょっと変わってまして、ドイツはヨーロッパのど真ん中にあるのでヨーロッパを旅行しやすいと思ったことと、昔、ドイツはヨーロッパで最も経済が発展していたこともあり、日本と非常に似てると思ったことが理由です。
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STAGE編集部:留学中にビジネスを始めたそうですね。エピソードを教えてください。
最初は通訳ガイドをやってました。ドイツでは、メッセ(独: Messe)という見本市があるので、そこで通訳していると、夜どこか案内してほしいとかよく言われますから、じゃあ自分らで組んでやればいいんじゃないかと思って始めました。

企画したのがフランクフルトの夜のナイトツアーですね。ドイツ語ですから皆さん、いろんなところに遊びに行きたくても非常にわかりづらいので、じゃあセットにしてドイツのビール飲んで、生演奏が入ってるところへ行って、それからショーを見に行ったり、ツアーを組んで募集したら結構集まりましてですね。

1人で行こうと思っても、ドイツ語だからわかりづらいですからね。
どこに店があるとかショーがあるかわからないので、それをちょっとアレンジして、パッケージにしてそれで企画したら結構売れました。

僕らが選んだ店ですから楽しい事も分かっています。お客さんも喜んでいただいて、手伝ってくれる方もいいアルバイト代になって「三方良し」となったわけです。
STAGE編集部:そのツアーの同行や通訳も澤田社長が全部されたのですか?
最初企画するときはしましたけど、あとは留学している大学生さんがいっぱいいますから、その学生さんにガイドしてもらって。お客さんを集めるのはホテルのフロントマネージャーに頼みました。

するとフロントマネージャーは例えば当時1万円くらいでツアーを売ってましたから、10%返してあげたら1日20人集めると、20日間くらいで自分の給料が30万前後になっちゃうから、喜んで配ってくれました。

学生さんもお金を稼ぐところがないので、1回3時間か4時間くらいの案内で1万円とかもらえると、小遣い稼ぎなりますから。夏休みや春休みに旅行するための、旅費を稼ごうと思って始めたことなので、その間僕は旅行しますけど。(笑)それで100万200万稼ぎました。当時ですからね。
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留学中の経営経験がエイチ・アイ・エスの創業に繋がる

STAGE編集部:エイチ・アイ・エス創業について詳しく教えてください。
最初は、旅行業は趣味だから、仕事にしたくなかったですよね。だから貿易の仕事をしようと思ったんですけど、それは事情でできなくなったので旅行業をやろうと思いました。当時ヨーロッパでは既に、チャーター機等の安い航空券が結構あって、個人旅行がどんどん伸びたんですね。日本に帰ってきたらまだそういうのがあまりなくて、高いパッケージツアーばっかりだったから、個人旅行もほとんどないし、安い航空券もないので、これはビジネスになるなと思ったことと、
たくさんの方に海外を是非見ていただきたいなと思って、少しでも旅行のお手伝いになりたいと思い、はじめましたね。
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18年連続赤字だったテーマパーク、「ハウステンボス」を半年間で黒字化する

STAGE編集部:ハウステンボスの再建について教えてください。
市長さんが来られて頼まれるんですけど、僕は最初お断りしたんですね。

テーマパークをやるべき場所じゃないとこでテーマパークやってますから。普通東京みたいに人口が多いとか、テーマパークって大体地元が7割くらいなのね。ということは東京が1番テーマパークでは有利なんですよ。ディズニーランド。その次大阪が1番多いのでユニバーサル。ここまで正解ですよね。で、地元の人口が少ないとこでやると大体みんな失敗するんです。

ハウステンボスは西の端の佐世保という田舎ですから。人口は東京の1/10以下ですからね。マーケットがないとこういうテーマパークやってくこと自体が問題なんですよ。それと、アクセスが遠いじゃないですか。例えば東京から1時間50分いって、バスでまた1時間かけて行く。1回は行っていただくけど、アクセスが悪いとリピーターにはなりづらいんですね。東京駅からディズニーランドは15分で行けるので、リピーターになられますけど。

それから、長崎は雨が多いので、テーマパークは雨が降ると3割お客さんが減りますから。はっきりいって、あそこに作ったのが間違いなんですよね。なんであんなとこに作ったのってね。で、お断りしました。

だけど市長さんに3回頼まれましたので。(笑)

観光のお手伝いや、地域の活性化のお手伝いができるならということで、お受けしました。結果、非常に面白い素材でやってよかったと思ってますね。
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澤田秀雄さん

澤田秀雄さん

1951年2月4日生まれ、大阪府出身。大阪市立生野工高卒業後、旧西独・マインツ大に留学。帰国後、1980年に旅行会社「インターナショナルツアーズ」を設立。1990年に社名を「エイチ・アイ・エス」に変更。1998年に航空会社「スカイマークエアラインズ」を就航させる。2010年、ハウステンボス株式会社社長に就任し、再生事業に着手する。

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「〈澤田秀雄〉留学中に世界50カ国を旅行。旅費のために始めたビジネスがH.I.S.創業の原点に」のライター