2018年Forbes JAPAN「地球で輝く女性100人」に最年少で選出された三木アリッサさん。イスラエル専門商社勤務時代に立ち上げた「イスラエル女子部」が大当たりし、三木さん自身もインフルエンサーとして、脚光を浴びました。その三木さんが、次にジョインしたのはプログラミング教育ベンチャーのLife is Tech !。アメリカ法人を立ち上げる準備の真っ最中にお話を伺いました。
2019.3.29
アメリカのマーケットにチャレンジする
STAGE編集部:Life is Tech !といえば、ディズニーとコラボレートしたプログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」が人気ですね。
三木:はい、そうなんです。Life is Tech !は、キャンプやスクールでこれまで約3万7千人の中高生にプログラミング教育を行ってきましたが、地域格差を解消するために、オンラインで楽しく学習できるプラットフォームを作りました。そのシステムを活用して生まれたのが「テクノロジア魔法学校」です。
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とライセンス契約し、ディズニーの世界を楽しみながらプログラミングやクリエイティビティをオンラインで学べる学習教材として昨年4月にリリースされました。魔法学校の生徒になって、ロールプレイングゲームのように遊んでいくと、気づいたらプログラミングまで身についてしまう。あたかも自分がディズニーのクリエイターになったかの感覚で、4つのプログラミング言語(JavaScript、HTML/CSS、Processing、Shader)を勉強してもらえます。今までの教材ってつまんないとか、どこかで挫折しちゃうんですけど、それがないという画期的なものです。日本で半年前に発売して、おかげさまで大ヒットしています。
この「テクノロジア魔法学校」を持って、アメリカ進出します。「テクノロジア魔法学校」を作ったのは元スクウェア・エニックスのCTO(現Life is Tech ! のCTO)なんですが、Life is Tech ! で中高生を教えている大学生の子たち(メンター)も、制作に携わっています。アメリカでバシッと売ってあげれば、作った大学生の誇りにもなる。彼らがフューチャーされて、次なる中高生が、「わっ、かっこいい」と思えば、いい循環になるんじゃないかなと思います。
ただ、日本人とアメリカの文化が全然違うんですね。例えば、日本の社会は、キャラクター物にすごく許容がありますが、アメリカは少しちがいます。キャラクターを心底好きになるっていう雰囲気があまりありません。表現を変えて、キャラクターに頼るだけでなく、本質的な勉強もできるんだよっていうことをちゃんと伝える。表現だけではない、戦略的なマーケティングが必要ですね。どういうチャンネルで、どう見せていくか。あるいは、どういう会社とアライアンスしなきゃいけないか、ということを今まさに、全部やっているところです。
STAGE編集部:三木さんのパートナーも一緒にアメリカへ行くんですか?
三木: 主人は、自動車メーカーの研究開発をしているんですけど、付いてきてもらうも予定です。一見、すごいリスクのようだけど、リスクじゃないなと思ったんです。主人はハードウェアのエンジニアで、樹脂でも金属でも、なんでも加工できます。そして、実は、いまソフトウェアの勉強もはじめているんです。今の日本で、ソフトウェアもハードウェアもどちらもできるエンジニアは少ないんですね。
なおかつ、今回アメリカへ行けば、英語がもっとしゃべれるようになるし、アメリカの文化を知ることができるじゃないですか。もちろん、日本へ帰ってくる理由は撤退ぐらいしかないので、アメリカでずっと暮らし続けたいんですが、もし、万が一撤退したとしましょう。彼の経歴は、ハードもできる、ソフトもできる、英語もできます。仕事はありそうじゃないですか(笑)。だから、案外リスクじゃないかもなと思って今回、彼にもそう説得しました。「あなたのキャリアを考えたときに、もしかしたら1社にとどまるんじゃなくて、ソフトウェアも勉強して、なおかつアメリカ行くっていうのは、すごくいいキャリアチャレンジなんじゃないの」と言ったら、彼も二つ返事で、「ああ、そうだね」って。
アートとお金をブリッジする存在
STAGE編集部:三木さんは子供の頃にお金に関してどんな教育を受けましたか?
三木:実は、お金教育を、あまり受けていなかったんです。父親は、確かに金融マンではあるんですけど、ものすごく忙しい人だったので。私が本当にお金について考え、金融教育をちゃんとしなきゃいけないなと思ったのは、大学に入ってプリザーブドフラワーのお店を立ち上げに参画するようになってからです。とはいえ、大学の時に気づいたので、他の日本人と比べたらアドバンテージは高くて、ラッキーだったなと思いますね。
イスラエルって、金融教育がとても発達しているんです。しかも、それが嫌味がないんですよ。例えばお父さんお母さんが、子供の前でビジネスの話をどんどんするんですよ。「今こういうところが儲かってなくて、ここがうまくショートしてるからこうしたい」とか自然にやっているんですね。だからこそ彼らは、お金を稼ぐことの嗅覚をちゃんと持っているんだろうなと思います。
金融教育は、もっといろんな人が受けるべきです。「お金儲けることが駄目だ」みたいな考え方が日本人の美徳のようになっているのは、明らかに問題です。少子高齢化社会では、そんなこと言っていられない状況なのに。
金融教育は、もっといろんな人が受けるべきです。「お金儲けることが駄目だ」みたいな考え方が日本人の美徳のようになっているのは、明らかに問題です。少子高齢化社会では、そんなこと言っていられない状況なのに。
STAGE編集部:お金儲けに興味がない、というスタイルは、特にアーティスに多いような気もしますけど、アーティストのお金に対する意識も変わっていったほうがいいと思いますか?
三木:私は、アーティストはどうかそのまま、パワーを発揮してほしいと思うんです。
彼ら彼女たちの無限のクリエイティビティーのおかげで、新しいアートが生まれている。新しい、美しいものが生まれているはずなんです。だから、それ以上は求めちゃいけないだろうと。彼ら彼女たちを支援する、サポーターになる人がいないから大変なんだと思います。
例えば、芸能界の俳優さん女優さんには、マネージャーがいるじゃないですか。マネージャーを雇っている会社があるわけですよね。俳優はある種アーティストで、演じるというアーティスティックなことが成り立っているわけです。でも、こと芸能以外のアートにおいてはマネージャーの存在が全くないのが、私はおかしいなと思っています。アーティストたちに勉強してもらうよりも、それを支える人、アートに興味がある人がもっと増えていったらいいんじゃないかなと思いますね。
STAGE編集部:アーティストとお金をブリッジする人。
三木:そうです。正に。私の大事にしていることが、適材適所ということです。少子高齢化の日本は、オールジャパンで今後戦っていかなきゃいけないじゃないですか。個々が強みを発揮して、みんな得意なことをやり続ける。私の場合は、マーケティングがすごく得意なので、その能力でアーティストを支援していくという考え方でいいんじゃないかな、と思います。
三木さんにとってのお金とは?
STAGE編集部:三木さん自身のお金の使い方やお金に対する考え方は、ライフステージにあわせて変わりましたか?
三木:変わりました。最初に就職した外資系企業は、給与がよかったんです。だから、後先考えずに使ってました(笑)。でも、いまは、本当に欲しいものにしかお金を使わなくなったな、とは思います。
主人とも、本当に心踊るものにだけお金をかけて、そうじゃない時は全然使わなくていいよね、と意見一致しています。それよりも、二人の幸せのために、今は貯金をしたり、FXや株でうまく運用したりしていますね。将来起業したいので、自己資金づくりのためにも。
主人とも、本当に心踊るものにだけお金をかけて、そうじゃない時は全然使わなくていいよね、と意見一致しています。それよりも、二人の幸せのために、今は貯金をしたり、FXや株でうまく運用したりしていますね。将来起業したいので、自己資金づくりのためにも。
STAGE編集部::起業のイメージはあるんですか?
三木:実は、まだ全然ないんです。だから今はアメリカで成功したいです。成功したあとに、一回自分で起業してみたいですね。その時は、職人さんのビジネスじゃなくて、違うビジネスで起業したいです。そこでバイアウトするとか、うまく結果を残してから、職人さんのためのビジネスをやりたいと思っています。職人さんを救うためには、ちゃんと資金がないといけないと思うので。日本は少子高齢化で、外貨を稼がなきゃいけないので、アメリカに移住しつつも日本をずっと見ていきたいです。
STAGE編集部:最後に、三木さんにとってお金とはなんですか?
三木:強くしてくれるもの。やっぱりお金がないと自立できないと思います。お金がないと、例えば夢も語れないし、会社のいいなりになっちゃう側面があると思います。やっぱりお金があるから、次に進めるステージもあると思うんですよね。だから、お金は、自分を強くする大切なものなんじゃないかなと思いますね。
お金とは自分を強くする大切なもの〈三木アリッサ〉
Life is Tech!でIT教育を受ける中高生がいますごい
小学校での必修化決定後、キッズプログラミングスクールは雨後の筍のように乱立状態。どこが良いのか判断も難しいですよね。そんな折、長男の友人が遊びに来てLife is Tech!(以下LIT)を紹介していきました。LITパーカーを普段着する彼はあまりにも嬉々としていたので、調べてみました。