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毎年仲秋の名月の日に行われる「采女祭(うねめまつり)」。秋の七草で美しく飾られた2m余りの花扇と数十人の稚児、御所車に乗った十二単姿の花扇使や、姉妹都市・福島県郡山市から参加いただいているミスうねめ、ミス奈良などが天平衣装をまとって市内を練り歩きます。

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9月に行きたい名物祭りの采女祭は、猿沢池へ昔入水した采女の霊を慰めるために開催をされるお祭りでもあります。
灼熱の太陽から一転して秋になると気候も良くなりますし、暑さでエアコン完備の室内で過ごしていた人たちも、過ごしやすい9月になれば秋のレジャーに出かけ始める時期です。
日本全国各地では秋に入ると、様々なイベントが目白押しになりますし、中秋の夜は長くお祭りなどもたくさん開催されます。

采女神社の例祭”采女祭”

その一つが猿沢池で開催の采女祭であり、奈良市にある春日神社の采女神社の例祭です。中秋の日というのが毎年恒例であり、この日にお祭りが行われます。天皇につかえる女官の後宮は采女と呼ばれていて、神社のネーミングの由来もここからです。

采女の霊を慰めようとした

時代はさかのぼること奈良時代にまでタイムトリップをしますが、その時代の天皇から寵愛を受けて大切にされた采女がいました。その1人の采女は寵愛を受けていたときは良かったものの、その関心が薄れてしまったのが悲劇の始まりです。猿沢池に采女が身を投げたのは、愛情が薄れたことへの悲観からでした。采女の霊を慰めようと当時の人々は、神社を建立をしたものの、池を見るのは辛いだろうという考えで後ろ向きに采女の社を変えたのです。

ですが今では大変賑やかなお祭りとして、たくさんの人々が集う行事になっています。9月の中秋の日は花扇奉納行列が執り行われますが、関係者は皆が天平衣装に仮装をしており、時間は朝ではなく夕方の17時からです。JR奈良駅前がスタート場所であり、最終店は采女神社として一行は街の中を練り歩くことになります。

見どころの一つは秋の七草をあしらえた花扇であり、遠くからでもわかるのはこの花扇は、なんと2メートルの大きさがあるためです。巨大な花扇は誰もが目に入りますし、花扇奉納行列は夕刻からにはなりますが、華やかさがあります。
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采女祭の神事

見どころはまだまだ続きますが、春日神社の神官では夕方の18時から神事がスタートです。

ミスうねめをはじめとした一行は、夜の19時からは2隻の管絃船に乗って、ゆっくりと猿沢池を巡りますが、その様子は幻想的にも見えます。町中を練り歩いた際に目立った花扇も船には乗せられて、管弦船での巡回を終わったら今度は池の中へと投じられる運命です。なぜそうした流れになるかですが、亡き采女の霊を慰めるためであり、どこまでも演出は華麗で美しさを絶やすことがありません。
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南都楽所での雅楽も管弦船での巡回の時にはありますし、この日はには中秋の名月に合わせていますので、名月も空に浮かんで雰囲気は満点です。
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願いが叶う「糸占い」

お祭りの日にほかにも多くの人が楽しみにするのが糸占いであり、授与をされますがこの日だけの限定でスペシャルでもあります。元来日本人は占いが大好きですし、特別な占いと来れば心待ちにしないはずがありません。

願い事がかなうと言われているのも糸占いであり、縫針に赤い糸を中秋の名月の明かりで通すことで願いが叶うと言われています。誰もが何かしらのお願い事を心に秘めていますから、こうしたお祭りの際にもらえるのであれば、わずか数百円の糸占いに願いを託さない手はありません。

管絃船に乗れる

当日に訪れるのももちろん楽しいですが、数日前から楽しむことができるのが管絃船への乗船です。普段であれば一般の人が観光目的での乗船などはしていませんが、お祭り開催の数日前から一時ではありますが、有料での乗船をすることができます。
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昼間の明るい時間に有料でも乗船をすることで、池上からの眺めとは異なる明るい時間の景色を楽しむことのできる良いチャンスです。
まるで采女となり管絃船に乗船をしている気分を味わえますし、国宝の興福寺の五重塔を優雅に眺めることもできます。

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「9月に行きたい名物祭り”采女祭”」のライター