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運営者としていくつものオンラインサロンで活動する柴山由香さん。子育てをしながら会社経営もし、それだけでも多忙なはずなのに、サロン運営に取り組む姿はかろやかです。サロン主催者からの信頼厚い柴山さんに、仕事も人生も輝かせるサロンの魅力についてお話を伺いました。

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2018.5.16
――柴山さんは、今どんなサロンに参加されているのですか。

今関わっているのは、箕輪編集室、櫻田潤さんのインフォグラフィックサロン、風呂敷畳み人サロン、サウナサロンです。サウナサロンはただ楽しむために参加していますが、それ以外は運営として関わっています。それに、NewsPicksアカデミアのアンバサダーもやっています。

――「運営」がメインになるのですね。

はい。運営をしていると、サロンイベントの中身は集中して聞くことができなかったりします。ですが、「会社では思うような仕事ができない」という方がサロンでやりたいことをやっていく、そんな「場」を作りたいという思いでやっています。
箕輪編集室 朝活の様子

箕輪編集室 朝活の様子

震災で痛感した思考停止の自分

――サロン活動を始めたのはいつのことだったのですか。
最初は、2011年です。

当時、私はメーカーの顧客対応部門で働いていて、子供は6歳。ガラスの天井も感じていましたが、会社員としての働き方に疑問は持っていませんでした。そんな考えが変わったのは東日本大震災の後です。

たいへんな非常時に、定時まで仕事をして帰るということをしていました。会社に時間を切り売りし、やりたいときにやるべきことができない自分を痛感しました。

一方、堀江貴文さんやピーチジョンの野口美佳さんは、ご自身のネットワークを生かして、有事に社会に貢献していました。

それを見て、次に何かあったら、誰かのために動ける側にいたい――そう強く思い、ワーママとして結果を出している勝間和代さんに惹かれて、勝間塾に入りました。

当時はまだオンラインサロンはめずらしく、岡田斗司夫さんのFREEex(フリックス)と、勝間塾のふたつぐらいしかない時代でした。

勝間さんは、他の人が「まぁいいや」と思ってしまうところを突きつめます。ルンバ、食洗機を早い段階から取り入れ、家事も外注できるところは外注する。その分稼げばいいという考え方をいち早く取り入れ、発信している方でした。

宝塚ファンクラブの運営で会社経営に必要なノウハウを学んだ

――当時、社外活動で宝塚ファンクラブの運営にも力を入れていたそうですね。

はい。宝塚ファンクラブはサロンではないのですが、似たところはあります。

ファンクラブは、応援している女優さんの活躍の場が増えるように、その女優さんを通してチケットを売る組織です数百人程のメンバーで、数千万円のチケットを売る。そのために強固なファンコミュニティを作っていました。

――そこではどんなことをしていたのですか。

チケットを数千万円売るためには、原資が必要です。そのために、イベント運営、スタッフ採用、グッズ販売などをやっていました。格好悪いグッズは売りたくなかったから、グッズの企画・制作もしました。

そこでは、仕事では経験できないような、勉強になることばかりできました。大企業にいると見えないものが、ファンクラブだと全部見えるのです。お金の流れも、人の流れも。

その時のグッズ制作の経験から、今のノベルティグッズの起業につながりました。

thinkstock (14717)

起業して、サロンで横の関係を築いていった

――現在、CEOをされているLA BOUSSOLEはどんな事業内容なのですか。

ノベルティグッズの企画制作です。ノベルティはどれも似てしまうことが多いのですが、うちでは、クライアント企業にとって納得感があるものを個別に提案するということをしています。毎回、全部に違うものを提案するから結構たいへんなのですが、これも、宝塚ファンクラブの経験があったからできていることです。

――サロン活動は起業後も続けていたのですか。

ファンクラブと勝間塾は忙しかったこともあり一旦やめていたのですが、起業後、社会でのつながりを増やしたくて2016年の末に勝間塾に戻りました。当時、勝間塾には二種類の会員がいて合計で数千人が在籍していましたので、色々な業種の方とのつながりを増やすことができました。

つながりのきっかけは、イベント運営です。勝間塾には、メンバーが自由にイベントを立てていい仕組みがあったので、そこでいろいろなイベントを主催しました。勝間さんとも仲良くなり、「ロジカルクッキング」のイベントを一緒に開催したりしました。

勝間和代さん(右)と

勝間和代さん(右)と

才能がある人をサポートし、お金ではないたくさんのものをもらう

――柴山さんは、サロン主催者の片腕になれる、特別な何かをお持ちのような気がします。

勝間和代さんも箕輪厚介さんもそうなのですが、すごい人は意外と細かいことが苦手だったりします。そこを埋めている感覚です。

才能ある方が、サロンでやりたいことがあるのに、リソースがなくてできなかったら、それは参加する人にとっても、もったいないですよね。そこをつなぎたいのです。

――恐れ多いような気がして、すごい人にはなかなか近づけないのですが・・。

素敵な人がいたら、私は一緒に仕事がしたいと思います。起業もしているので、「仕事相手になれたらいいな」という夢みたいな目標も持っています。

だから、勝間さんが五反田にボードゲームのお店を立ち上げたとき、備品が足りなかったので、それを作るところをお仕事としてサポートさせていただきました。

――「埋める」作業は、たいへんなことも多いのではないでしょうか。雑用など、ちょっとやりたくないと思ってしまうようなタスクもあるのでは。

私はむしろ、何もしない方がもったいないと思っています。

素敵な人に惹かれて、会費を払ってサロンに入っているのだから、その人たちと同じ空気を吸うことに価値がある。近くに行けば、その人の思考の癖や、どんな人と付き合いがあるのか、自然と入ってきます。それは、本などではわからない、なまみで付き合う価値です。
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箕輪編集室が始まり、「自分を出す」を始める

――箕輪厚介さんとはどんな出会いだったのですか。

HIU編集学部というところで、箕輪さんが、「堀江貴文さん著作の『多動力』のプロモーションをやるから興味がある人は幻冬舎に来てください」と呼びかけていました。

おもしろそうだから行ってみたのですが、そうしたら、だるっだるの箕輪さんがいて、大丈夫なのかなこの人、と(笑)。

でも箕輪さんの言うことはおもしろかったので、そこで『多動力』のゲラを読んだり、ツイッターで『多動力』の祭りが起きているというようなワイワイ感を発信することをしました。

当時、ツイッターのフォロワーは80名程度しかいなかったので、私がツイッターで発信することに意味があるのか半信半疑でした。

でも、まじめにやってみたら、自分のフォロワーは増えるし、『多動力』はどんどん売れていくし。「なんておもしろいんだろう!」と思いました。

――『多動力』は今や30万部の大ヒット作になりましたね。

はい。その後、箕輪さんがサロンをやることになって、2017年6月、箕輪編集室に1期生として入りました。それは、自分に欠けている「自分を出していく」ことを学び取りたいという思いからでした。

――「自分を出す」というと?

会社をやっているから、会社を有名したいのです。だけど、影響力は会社や団体につくのでなく、人に付く。だから「自分を出す」ことをしなくてはいけないのですが、それにはどうしても躊躇してしまいます。そこを、箕輪さんから学び取りたかったのです。
HIUホリエモン万博にて箕輪厚介さん他箕輪編集室メンバーと

HIUホリエモン万博にて箕輪厚介さん他箕輪編集室メンバーと

得意なことが役割になり、それが居場所になる

そうこうするうちに、箕輪編集室第1回イベントゲストの、見城徹さんのアテンドを任されました。箕輪さんから、「初対面の人やVIPとも臆せずに話せるでしょ」と役割を与えられたのです。

それまでは、編集者でもクリエイターでもない私が箕輪編集室にいていいのかな、という躊躇がどこかにありました。でも、アテンドならできる。それは、宝塚ファンクラブでアテンドしてきた経験があったから。

それは、箕輪編集室に「居場所」ができた瞬間でした。

それからは何でも「やります、やります」と進んで活動できるようになりました。そうして、箕編は年明けに200名から、400名、700名と急拡大していき、今は、運営チームも組織化しています。

――箕輪編集室の運営チームも、柴山さんの「居場所」になっているのですね。

はい。オンラインサロンでは、「居場所」を持つことが本当に大事です。それは、あるタスクをたまたまやるということではなくて、自分の得意なことを周囲に認識してもらって、役割を得るということです。そうすると、躊躇なく活動することができるようになるのです。
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会社員がサロンをやった方がいい理由

――今、柴山さんがサロンでやりたいことはなんでしょうか。

私は、今まで、サロンから得たことで仕事が成り立ってきました。だから今度はみんながそうである「場」を作りたいと思っています。

サロンで自分を鍛えたら、本業でもきっと突き抜けられると思うのです。

会社の教育だけでは、突き抜けることは、通常難しいと思います。なぜなら、みな同じ教育を受けていますから。

でも、サロンで鍛えたら、本来本業でやりたかったことも任せてもらえるようになります。その時に、会社のもっているリソースを使えたら、ものすごくインパクトの強いことができるはずです。

そのためにも、参加するだけではないサロンの楽しみ方を知ってほしいです。オンラインサロンは、入っただけでは何も起きません。待っていても、誰も来てくれない。

最初は、活発に動くのを躊躇してしまう気持ちはよくわかります。

だから私は、そういう人たちを巻き込んでいけるような、「場」を作っていくことをしたい。それをやっていけたら、私自身もアップデートできる気がするのです。
箕輪編集室 女性チームのメンバーと

箕輪編集室 女性チームのメンバーと

山口晶子

山口晶子

米国公認会計士。コンサルティング会社勤務。

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「会社でできないことは課外活動で学び取る。「オンラインサロンで運営を学び起業」柴山由香さんインタビュー」のライター